Wi-Fiが遅い原因は?有線・距離・2.4GHz/5GHzを実測比較

しんくんとWi-Fiルーター・パソコンによる速度実測比較

公開用原稿です。2026年7月に木造集合住宅で実施した速度・Ping・RSSIの実測値を掲載しています。会社や事務所での測定ではありません。

Wi-Fiが遅いとき、最初からルーターの故障や買い替えが必要だと決めることはできません。

今回は、有線LAN、ルーター付近、離れた部屋、2.4GHzと5GHzを比較しました。結果として、有線LAN測定3回では下り約400Mbpsだった一方、Wi-Fiは場所と周波数帯によって差が出ました。寝室のいちばん奥では、5GHzの平均下り速度は約71Mbps、2.4GHzは約19Mbpsでした。

また、ルーターの設置高を床から1m以上へ変えた後に再測定しましたが、今回の結果では明確な改善は確認できませんでした。設置場所の変更だけで改善すると見込まず、測定してから次の対策を決める必要があります。

目次

今回の検証範囲

この記事は、木造の集合住宅内で行った速度・Ping・RSSI(電波強度)の比較です。特定の会社や事務所の不具合を再現したものではありません。

そのため、「この数値なら業務に問題がない」「この機種なら必ず直る」といった断定はしません。Wi-Fiが遅いときに、どの順番で確認すれば原因を絞れるかを示すための実測例としてご覧ください。

検証環境

項目 内容
回線 集合住宅の共用インターネット回線(サービス名・契約内容は非公開)
Wi-Fiルーター BUFFALO WSR-2533DHPLS-BK、2022年頃から使用
ルーターモード AP/ブリッジモード
測定用PC MacBook Air(Apple M5)、macOS 26.5.1
有線LAN USB-C有線LANアダプター、CAT5eケーブル
接続時の規格・チャンネル幅 5GHzは802.11ac・80MHz、2.4GHzは802.11n・20MHzを確認
建物 木造の集合住宅。1DK・1LDK相当
測定サービス Speedtest by Ookla。測定サーバーは原則 fdcservers.net(東京)

ルーターはリビング・ダイニング側に設置し、離れた測定位置は寝室のいちばん奥です。距離は8m以上で、間に壁または扉が1つあります。

測定方法

同じパソコンで、以下の条件を原則3回ずつ測定しました。

  1. 有線LAN接続
  2. ルーターから約1m、5GHz
  3. ルーターから約1m、2.4GHz
  4. 寝室のいちばん奥、5GHz
  5. 寝室のいちばん奥、2.4GHz
  6. ルーターを床から1m以上へ移動した後、寝室のいちばん奥、5GHz

Pingは、通信の応答時間です。小さいほど応答が速い傾向があります。RSSIは電波強度で、数値が0に近いほど強い電波を受けている目安です。

検証1:有線LAN接続

まず、Wi-Fiを使わずに有線LANで測定しました。

測定回 下り 上り Ping 測定サーバー
1回目 403.38Mbps 434.41Mbps 5ms IPA CyberLab 400G(東京)
2回目 402.52Mbps 222.22Mbps 5ms fdcservers.net(東京)
3回目 402.95Mbps 465.38Mbps 4ms fdcservers.net(東京)

有線LANでは、下り速度は3回とも約400Mbpsでした。1回目だけ測定サーバーが異なるため、3回まとめた平均値は出していません。

この環境では、有線LANが極端に遅い状態ではありませんでした。少なくとも測定時点では、Wi-Fi以外の部分にも同じ大きさの速度低下が起きているとは判断しにくい結果です。

検証2:ルーター付近の2.4GHzと5GHz

ルーターから約1mの位置で、5GHzと2.4GHzを比較しました。

周波数帯 測定回 下り 上り Ping RSSI
5GHz 1回目 123.08Mbps 228.84Mbps 8ms 未記録
5GHz 2回目 125.13Mbps 55.25Mbps 7ms 未記録
5GHz 3回目 128.03Mbps 184.71Mbps 9ms -40dBm
2.4GHz 1回目 29.82Mbps 64.73Mbps 13ms -36dBm
2.4GHz 2回目 41.53Mbps 60.03Mbps 8ms -35dBm
2.4GHz 3回目 38.14Mbps 59.24Mbps 9ms -36dBm

平均すると、5GHzは下り約125Mbps、2.4GHzは下り約36Mbpsでした。ルーター付近では、今回の環境では5GHzの方が速い結果です。

この比較では、5GHz側は802.11ac・80MHz、2.4GHz側は802.11n・20MHzで接続していました。周波数帯だけでなく、通信規格とチャンネル幅を含む今回の接続設定の結果です。

また、電波強度が近い値でも、周波数帯や周辺の電波状況によって通信速度は変わります。RSSIだけで「速い」「遅い」を決めることはできません。

検証3:寝室のいちばん奥で比較

次に、ルーターから8m以上離れた寝室のいちばん奥で測定しました。間には壁または扉が1つあります。

周波数帯 測定回 下り 上り Ping RSSI
5GHz 1回目 50.53Mbps 92.88Mbps 8ms -71dBm
5GHz 2回目 100.11Mbps 118.31Mbps 32ms -71dBm
5GHz 3回目 62.29Mbps 87.81Mbps 8ms -71dBm
2.4GHz 1回目 21.61Mbps 18.03Mbps 11ms -69dBm
2.4GHz 2回目 9.34Mbps 6.95Mbps 16ms -69dBm
2.4GHz 3回目 27.04Mbps 8.16Mbps 161ms -68dBm

5GHzの平均下り速度は約71Mbps、2.4GHzは約19Mbpsでした。今回の最も離れた測定位置でも、5GHzの方が速度が出ました。

一方で、5GHzはルーター付近の約125Mbpsから約71Mbpsへ下がりました。2.4GHzは、下り速度が9.34〜27.04Mbps、Pingが11〜161msとばらつきました。3回目のPingだけを除外せず、実測値として残しています。

この結果だけで、2.4GHzが常に使えない、5GHzが常に優れているとは言えません。ただ、今回の場所・機器・時間帯では、遠い場所でも5GHzの方が有利でした。

検証4:ルーターの設置高を変えて再測定

ルーターの設置高を床から30cm未満から1m以上へ変えた後、寝室のいちばん奥で5GHzを3回測定しました。

この再測定は5GHzだけで行っています。2.4GHzは設置高を変えた後に測定していないため、設置高が2.4GHzへ与える影響までは、この結果から判断しません。また、水平位置や周囲の物の置き方は記録していないため、高さだけの影響を比較する検証ではありません。

測定回 下り 上り Ping RSSI
1回目 70.25Mbps 67.33Mbps 8ms -73dBm
2回目 63.36Mbps 55.67Mbps 8ms -71dBm
3回目 48.98Mbps 99.76Mbps 7ms -72dBm

設置高を変えた後の平均下り速度は約61Mbpsでした。変更前の最奥・5GHzの平均約71Mbpsより約10Mbps低い値です。RSSIも変更前の-71dBmに対して-73〜-71dBmで、大きな変化は確認できません。

測定日は8日異なるため、回線の混雑など外的条件まで完全に同じではありません。それでも、今回の範囲では「ルーターを高く置けば必ず速くなる」とは言えません。

実測から分かったこと

今回の実測から分かったのは、次の4点です。

  1. 有線LANが約400Mbps出ているなら、まずWi-Fi側の距離・周波数帯・設置条件を分けて確認する価値があります。
  2. ルーター付近では、今回の環境では5GHzが2.4GHzより速い結果でした。
  3. 離れた場所では、5GHzも速度が下がりましたが、今回の結果では2.4GHzより高い速度を維持しました。
  4. 設置高を変えた後の5GHz測定では、明確な改善は確認できませんでした。

ルーターの買い替えや中継器の追加を先に決めるより、有線LANとWi-Fi、近い場所と遠い場所、2.4GHzと5GHzを比べてから判断する方が、不要な出費を減らせます。

Wi-Fiが遅いときの切り分け手順

Wi-Fiが遅いと感じたら、次の順番で確認します。

1. 有線LANでも遅いか

有線LANも遅い場合は、Wi-Fiの電波だけが原因とは限りません。回線、ONU・ホームゲートウェイ、ルーター、LANケーブル、時間帯などを確認します。

2. ルーター付近では速いか

近くで速く、離れた場所だけ遅い場合は、距離、壁、扉、設置場所の影響を優先して確認します。

3. 2.4GHzと5GHzで差があるか

同じ場所・同じ端末で周波数帯を変えて測定します。Wi-Fi名だけでは推測せず、OSの表示や管理画面で確認してください。

4. 特定の端末だけ遅いか

1台だけ遅い場合は、端末のWi-Fi機能、更新状況、常駐ソフトなども確認対象です。

5. 時間帯で差があるか

同じ場所でも時間によって差が出る場合は、回線混雑、クラウド同期、大容量ダウンロードなどの影響を記録します。

6. 設置場所を変えても変化がないか

変化がなければ、設置場所だけに原因を絞らず、回線・ルーター・端末・配線を順番に確認します。

自分で確認できること

  • 同じ端末で、ルーター付近と普段使う場所を測る
  • 2.4GHzと5GHzのどちらに接続しているか確認する
  • 複数の端末で同じ症状が出るか確認する
  • 症状が出た日時と、そのとき使っていた機器を記録する
  • クラウド同期や大容量ダウンロードが動いていないか確認する
  • ルーターが床や棚の奥、金属製ラックの中に置かれていないか確認する
  • 電源・LANケーブルの緩みを目視で確認する

ルーターの初期化や配線の全変更は、業務用の接続が戻らなくなることがあります。不安がある場合は、現在の配線と機器名を写真で記録してから作業してください。

相談した方がよいケース

  • どの機器がルーターか分からない
  • ルーターや中継器が複数ある
  • 有線LANでもWi-Fiでも遅い
  • プリンターや防犯カメラなど、多くの機器が接続されている
  • 特定の部屋だけで速度が遅い、または不安定に感じる
  • 設定を変えて元に戻せるか不安がある

機器を買い替えれば必ず改善するわけではありません。配線、設置場所、接続台数、端末側の状態を確認してから、必要な対応を決める方が無駄を減らせます。

まとめ

今回の有線LAN測定3回では、下り約400Mbpsでした。Wi-Fiはルーターから離れるほど速度が下がり、寝室のいちばん奥では5GHzの平均下り速度が約71Mbps、2.4GHzが約19Mbpsでした。

また、設置高を変えた後の5GHz測定でも、今回の範囲では明確な改善は確認できませんでした。測定結果を残してから次の対策を決めることが、原因の切り分けにつながります。

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